AFボーグシステム完成!野鳥撮影もボーグでイケる!
2019.08.23 Friday
天体望遠鏡として購入したBORG77ED。
古いタイプですがF4レデューサーを使えば換算約450mmくらいで
そこそこの星雲・星団写真を撮影できることがわかりました(片ボケ残ってるケド…)。
しかしこちらの鏡塔を購入した目的は一つだけではありません。
一つは眼視観望をやりたいのですが、リングパーツはそろっているものの
アイピースが一つしかなく(25mmのアメリカン)まだ使えるシーンは限られます。
せめてあと5mmと10mmくらいは欲しいところですね。
さらに活躍の場所は天体だけではありません。
「AFボーグ」と呼ばれる動体をある程度追いかけることのできるシステムがあり、
これを作って野鳥撮影へ活用することをずっと考えていました。
そしてこのたび、ようやく実行に移すことができたので、
パーツ構成やその初期成果などをここでまとめておきたいと思います。
遂に完成した我がAFボーグシステム。色んなボーグパーツの存在が苦労の証。。。
まずはパーツ構成です。「ボーグ沼」と言われるとおり、たくさんのパーツがあり
その組み方しだいで色々な可能性があるのはよいのですが、初心者にはとにかくとっつきずらい。
僕の場合は77EDをある程度のセット品で買いましたが、AF化するとなれば話は別。
欲しいパーツが生産中止になっていて中古で購入するしかない場合もあり、
一通り集めていくのは苦労します(中古はよほどマニアックなものでなければそこそこ出回りますが)。
何はともあれ、AFボーグシステムを作るには対応できるカメラが必要です。
基本的には「AFテレコン」の存在するペンタックスorニコン機が必要となります。
ちなみにペンタックスは1.7倍、ニコンは1.6倍ですが、後者は改造が必要です。
前者はアダプターに直接手を加えなくてもよく、その意味では少し敷居が下がります。
1.7倍AFテレコン。実は現行品として販売されています。
ペンタックスのボディはボディ内手ぶれ補正機構「SR」が搭載されているのも特徴。
場合によっては手持ち撮影できるのも利点となってきます。
もちろんレンズ側には手ぶれ補正なんてありませんから、この「SR」は大きな存在です。
さらに。ペンタックス機は赤い星雲の写りが良いとされており、
天体撮影にもそのまま流用できてしまいます。
以上の理由から僕はボディとしてK-5を購入することにしました。
ペンタックスK-5。古いモデルだが作例などを見ると充分使えそうだった。
本当は特に赤い星雲が写るK-5IIsが欲しかったのですが、度重なる出費で資金が。。。
他のパーツの購入なども考えると1万円の差は結構大きいです
(それぞれK-5IIsは2万5000円、K-5は1万5000円程度)。
しかしいずれはボディもステップアップしていきたいですね。
ボディが決まったらお次はリングパーツです。
ここはすでに充実しているのでカメラマウントアダプターを買い足せばよかったです。
ペンタックスには5002とその改型があるのですが、ここは5002をチョイス。
ペンタックス用カメラマウントアダプター。スタンダードな5002。
「改」との違いはマウント面の塗装があるかどうかです。
実は先ほどのAFアダプター、接点を電気的にショートさせなくてはならないのですが
改型はそのためにマウント面が塗装されておらず通電します。
ならなんでわざわざ5002を選んだかと言うと、一つには安いから(笑)
そしてもう一つは実は改型の精度が悪いらしく、動作が安定しないようなのです。
実はショートさせるのも全てのピンではなく、F値によって微妙に変わるらしく
そのことも影響しているかもしれません。
ちなみに僕の場合は5002へアルミテープを貼り付け、2・3番ピンをショートさせています。
ところで天体仕様の77EDは鏡塔が135mmしかありません。
F4レデューサーを使えばこちらでも良いのですが野鳥撮影にはちょっと焦点距離が短い。
計算すると換算300×1.7×1.5〜750mm前後となります。
場合によっては使えますがもう少し焦点距離長いバージョンも用意したい。
そうなると10m前後先の被写体にピントを合わせるには光路長さが足りません。
そこで生産中止品ですが、205mm80φ鏡塔も買いました。
下が天体用135mm、上が新調した205mm鏡塔。こうしてみるとだいぶ長さが違います。
しかし買った後で思ったのですが、これでも鏡塔の長さが少し不足していました。
若干ドローチューブを繰り出した位置にピントが来ます。
ドローチューブを繰り出すとガタが発生するため、あまり好ましくないんですよ。
それに最短撮影距離も長めの鏡塔のほうが稼げます。
買ってみて後から気付く。。。BORGではよくあることらしいのですが、これが沼の要因の一つ。
ところで77ED対物レンズは口径77mm、焦点距離500mmです。
F値は約6.6、1.7AFテレコンを使うにはちょっと暗すぎます。
いろいろな方が実験されていますがF5.6より明るい光学系ならそこそこ安定するようです
(メーカーはF2.8を推奨していますが、F4はほぼ確実に動作、5.6もいけるとのこと)。
そこで焦点距離を短縮し明るくするレデューサーを使います。
F4はちょっと短すぎると言うことで、0.8倍くらいのものが欲しい。
しかし望遠鏡用となると少なくとも2万円。。。
K-5IIsをケチってK5にした僕にとってコレはちょっと厳しいです。
実はこのレデューサーも代用品が有りまして、それがケンコーACクローズアップレンズです。
ACクローズアップレンズNo.3。実はf=320mmくらいのレンズです。
実は焦点距離を短縮するだけなら凸レンズ系を使えばいいです。
しかし写りのことを考えるとある程度のレンズを選択しなくてはなりません。
このクローズアップレンズ、ACと付いていますがこれは「アクロマート」の意味。
つまりこのお値段で2枚構成になっているんです。
AFボーグではNo.2やNo.3がレデューサーの代用品として使われています
(数字が大きくなるほど曲率がきつくなる、つまり焦点距離が短くなる)。
なお補正光学系は取り付ける位置によって全体の焦点距離が変わります。
僕が希望するのはf=400mmくらいの光学系。
この場合は7000のM52ネジへ直接取り付けると良いようです。
さて、これでようやくAFボーグを使用する準備が整いました。
ここまで長かった。。。改めてまとめるのも大変なくらい、色々と手を加えましたね。
それでは肝心の写りです。
途中に正規のレデューサーではなくクローズアップレンズを使用、さらに1.7倍テレコンを使っています。
かなり像が劣化してしまいそうですが、まずはテスト撮影。
夏は鳥が少なくすぐに撮れるのはスズメくらい。まずは手持ちで一枚撮影。
電線の上に止まったスズメ。あえて白バックの中の被写体を撮影。
テスト撮影と言うことであえて光学系にとって厳しい条件で撮影しています。
また野鳥写真としては白バックの中に被写体を収めることはセオリーに反するのですが、
今回はテストですからあえて色収差の目立つこの状況を選択しました。
実際、この縮小サイズでもいろにじみがはっきりと確認できますね。
もともとACクローズアップレンズには収差を補正する能力がなく、さらに1.7テレコン併用。
当然ですが対物レンズがEDの2枚構成では厳しいでしょう。
しかし鳥本体の解像感は中々なものです。
白いバックからおわかりかもしれませんが、曇って光が少なかったにもかかわらず、です。
ブログ用に縮小しており伝え難いのは残念ですが、羽毛はそこそこ解像しています。
しかし全体に紫・青がかかった画像で、このときは厳しいのかな、と思っていました。
ですが、作例を見ると同じ構成で「気持ち悪い」レベルの解像を達成しています。
条件が良ければもしかしたら、ということでしばらく撮影を続けました。
そうすると次はもう少し距離が近く、背景も色収差が目立ち難い状況で撮影できました。
アスファルトの上を歩くスズメ。白バックよりも色収差が目立ち難い。
今度はアスファルト上で光の周り具合も少しよくなっています。
そうするとこんな感じにかなりの解像感で撮影できることがわかりました。
ブログは横900へ縮小しなければならないので、その解像感を伝えることが難しく、残念に感じます。
ちなみにこの撮影は手持ちでシャッタースピード1/250sec, ISO400です。
すこしシャッターが遅いのでよくよく見ると被写体ブレが発生していたり、
また古いカメラのためかやや「塗り絵」となっている箇所もあるのですが、
まぁこのサイズだとわからないでしょう。
しかし夏は鳥が少ないですね。
そんな中、最近、都市部へ進出しているイソヒヨドリが家の周りを飛び回っています。
いつもは鉄塔の上で美声を披露していますが、時々地面に降りてエサを探していますね。
スズメより出会う確率は低いのですが、偶然よく撮れた1枚があり、
コレを見てAFボーグがじゅうぶんイケると思いましたので載せておきます。
イソヒヨドリの雌。蒼いオスと比べるとやや地味な色。雌雄別色の鳥はたいていオスのほうが綺麗ですね。
いかがでしょうか。
個人差はあると思いますが、僕はここまで写っていれば充分だと感じました。
ちなみに元の画像は少し傾いており、余計なものが入り込んでいたのでトリミングしました。
そのせいで最終的には600万画素相当くらいまで落ちてしまいました。
ギリギリA4いけるかどうか、といったところでしょうか。
やはりトリミングを多用する鳥撮影では保険のため最低2400万は欲しいですね。
もちろん、光学系の解像力も重要ですが、ボーグなら大丈夫だと思っています。
少し野鳥の話をすると、このイソヒヨドリ、元々は名前の通り
海岸で暮らしていた鳥のようですが、最近都会へ進出しつつあります。
それは僕のところでも同じで、どうやらイソヒヨドリにとって住環境が良いようです。
今のところこの一家に加え、新たな雄雌のペアも現れはじめました。
幼鳥も見かけたので、どうやら繁殖もしているようです。
今のところ一番良く撮れたのは作例のメス。オスも撮るには撮りましたが。。。
イソヒヨドリのオス。濃い蒼色が特徴。一帯に響き渡るくらい、大きな声でさえずっていることが多い。
逆光と言うことも有り黒潰れ気味に写っていました。
そこを無理あり持ち上げましたのでかなりノイジーになってしまいました。
それでも羽毛はしっかり写っているので、やはりボーグの解像感は中々のものだと思います。
ということで、ようやくAFボーグを組み上げ実戦テストをすることが出来ました。
次はとにかくカワセミの撮影をしたいのですが、どうにも姿を見かけません。
今は空振り続きでテンション下がってきたので海辺にでも行こうかと思っているところ。
どうやらシギ類が渡りをはじめ、時々干潟で姿を見かけるらしいのです。
こちらも確実ではないし、あくまで中継地なのでその期間も短いらしいのですが。。。
野鳥撮影は少しの間辛抱も必要かもしれません。
さて、これで僕の理想としていたシステムに少し近づきました。
元々は天体撮影の機材を一部流用して野鳥撮影をしたいと思っていました。
そう考えるとやはりAFボーグをはじめ、望遠鏡を半AF化するのが一番ですね。
今まで何でこのシステムを導入しなかったんだろう、と思うくらいです。
ともかく、コレで新月期は天体、満月機は野鳥と一つの鏡塔を色々活用できる。
これは素晴らしいです!